脳卒中やパーキンソン病などの後遺症によって、
- ・起き上がり
- ・歩行
- ・トイレ
- ・入浴
- ・着替え
などに介助が必要になることがあります。
そして実際に介護をされているご家族からは、
- 「毎日が大変」
- 「自分の時間がない」
- 「イライラしてしまう」
- 「先が見えず不安」
- 「身体も心もしんどい」
という声を多く聞きます。
介護は、“家族だから頑張って当然”と思われがちです。
しかし実際には、介護によって心身ともに疲弊してしまう方は少なくありません。
特に脳卒中後では、
- ・麻痺
- ・高次脳機能障害
- ・感情変化
- ・転倒リスク
- ・コミュニケーション障害
などがあり、介助の負担が長期化しやすい特徴があります。
今回は、
- ・なぜ家族が疲弊しやすいのか
- ・「頑張りすぎ」が危険な理由
- ・介護負担を減らす考え方
- ・リハビリが家族にも重要な理由
- ・家族が壊れないために必要なこと
について、研究や文献も交えながらわかりやすく解説します。
「介護疲れ」は珍しいことではない
まず大切なのは、
“介護で疲れるのは当たり前”
ということです。
介護では、
- ・身体的負担
- ・精神的負担
- ・時間的負担
- ・経済的不安
などが重なります。
特に在宅介護では、
「24時間気が抜けない」
状態になりやすく、
- ・睡眠不足
- ・慢性疲労
- ・腰痛
- ・抑うつ
- ・孤立感
につながることがあります。
脳卒中後は家族負担が大きくなりやすい
脳卒中後では、
- ・麻痺
- ・失語症
- ・注意障害
- ・感情コントロール低下
- ・記憶障害
など、見えにくい障害もあります。
例えば、
「身体は動くのに危ない」
ケースもあります。
すると家族は、
- ・転倒しないか
- ・勝手に歩かないか
- ・外出しないか
常に気を張ることになります。
また、
「本人はできると思っている」
一方で、
「実際には危険」
というズレが介護負担につながることもあります。
「頑張りすぎる家族」が多い
介護では、
「自分がやらなきゃ」
と思う方が非常に多いです。
特に、
- ・配偶者
- ・子ども
- ・親
など近しい関係ほど、
“責任感”
が強くなりやすい傾向があります。
しかし、
全部を一人で抱え込む
ことは非常に危険です。
なぜなら介護は、
“短距離走ではなく長距離走”
だからです。
最初に無理をしすぎると、
- ・身体を壊す
- ・心が折れる
- ・共倒れになる
可能性があります。
「介助=全部やる」ではない
介護で重要なのは、
“本人ができる部分を残す”
ことです。
例えば、
- ・少し時間はかかるけど自分で立てる
- ・手すりがあれば歩ける
- ・一部だけ手伝えば着替えられる
場合に、すべて介助してしまうと、
- ・本人の活動量低下
- ・廃用症候群
- ・「やらなくなる」
につながることがあります。
すると結果的に、
“介護量が増える”
ことになります。
「待つ」ことも介助
介護では、
“危険だから全部やる”
になりやすいですが、
実は、
「見守る」
「待つ」
ことも重要です。
もちろん安全性は大切です。
しかし、
本人が自分で身体を使う経験は、リハビリにもなります。
つまり、
“介助しすぎない”
ことも大切なのです。
家族が「代わりに動く」とどうなる?
例えば、
- ・立ち上がりを全部引っ張る
- ・歩行を全部支える
- ・麻痺側を使わせない
などが続くと、
本人は、
「自分でやらなくてもいい」
状態になりやすくなります。
すると、
- ・活動量低下
- ・筋力低下
- ・バランス低下
につながり、さらに介護量が増えてしまいます。
リハビリは「家族のため」でもある
リハビリというと、
「本人のため」
と思われがちです。
しかし実際には、
“家族の介護負担軽減”
にも大きく関わります。
例えば、
- ・立ち上がりが安定する
- ・移乗しやすくなる
- ・歩行が安定する
- ・転倒が減る
だけでも、家族負担は大きく変わります。
つまり、
“少し動きやすくなる”
ことが、介護する側にとっても非常に重要なのです。
「できないこと」ばかり見ない
介護が続くと、
つい、
- ・危ないところ
- ・失敗
- ・できない部分
ばかりに目が向きやすくなります。
しかし、
- ・昨日より立ちやすい
- ・少し歩けた
- ・自分で服を触れた
など、小さな変化を見ることも重要です。
なぜなら、
本人も、
「迷惑をかけている」
と感じて落ち込んでいることが多いからです。
家族も「休む」必要がある
介護では、
「休むこと」に罪悪感を持つ方もいます。
しかし、
介護者が倒れてしまうと、
介護そのものが継続できなくなります。
そのため、
- ・デイサービス
- ・訪問リハビリ
- ・通所リハ
- ・ショートステイ
- ・自費リハビリ
などを活用し、
“家族が休める時間”
を作ることも大切です。
「一人で抱え込まない」
介護疲れを防ぐ上で最も重要なのは、
“孤立しないこと”
です。
特に、
「自分だけが大変」
と思い込むと、精神的負担が強くなります。
そのため、
- ・医師
- ・セラピスト
- ・ケアマネジャー
- ・家族
- ・地域サービス
などとつながることが重要です。
リハビリで家族指導が重要な理由
実は、
「本人へのリハビリ」
だけでは不十分なことがあります。
なぜなら在宅では、
家族の介助方法
が大きく影響するからです。
例えば、
- ・立たせ方
- ・支え方
- ・声かけ
- ・環境設定
によって、
本人の動きやすさも変わります。
つまり、
“家族もリハビリチーム”
なのです。
「頑張りすぎない介護」が大切
介護では、
100点を目指しすぎる
と苦しくなります。
- ・完璧にやろうとする
- ・全部やろうとする
- ・一人で抱え込む
ほど疲弊しやすくなります。
大切なのは、
“続けられる介護”
です。
そのためには、
- ・周囲を頼る
- ・休む
- ・手を抜く
- ・サービスを使う
ことも必要です。
「介護する人」も守られるべき
介護では、
本人に注目が集まりやすいですが、
“介護者の健康”
も非常に重要です。
家族が疲弊すると、
- ・イライラ
- ・睡眠不足
- ・抑うつ
- ・関係悪化
につながることがあります。
だからこそ、
“家族を支えること”
もリハビリには必要なのです。
まとめ
介護は、
身体だけでなく心にも大きな負担がかかります。
特に脳卒中後では、
- ・麻痺
- ・高次脳機能障害
- ・転倒リスク
- ・活動量低下
などがあり、家族負担が長期化しやすくなります。
そのため大切なのは、
- ・一人で抱え込まない
- ・本人ができる部分を残す
- ・適切にサービスを使う
- ・家族も休む
ことです。
またリハビリは、
“本人の回復”
だけでなく、
“家族の介護負担軽減”
にも大きく関わります。
介護は、
「頑張り続けること」ではなく、
“続けられる形を作ること”
が重要なのです。
当施設では
当施設では、
- ・歩行・動作練習
- ・家族への介助指導
- ・自主トレーニング指導
- ・環境調整アドバイス
- ・日常生活動作練習
などを通して、「本人と家族の両方が生活しやすくなること」を大切にしています。
「介助が大変」
「このやり方で合っているか不安」
「少しでも負担を減らしたい」
そんな方は、お気軽にご相談ください。
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参考文献
- Rigby H, et al. Caring for stroke survivors: baseline and 1-year determinants of caregiver burden. Int J Stroke. 2009. DOI: 10.1111/j.1747-4949.2009.00288.x
- Cameron JI, et al. Stroke survivor and caregiver perspectives on post-stroke rehabilitation. Top Stroke Rehabil. 2013. DOI: 10.1310/tsr2002-114
- Greenwood N, Mackenzie A. Informal caring for stroke survivors: meta-ethnographic review. Maturitas. 2010. DOI: 10.1016/j.maturitas.2010.03.017
- 日本脳卒中学会.脳卒中治療ガイドライン2021
- 厚生労働省.国民生活基礎調査 介護者の状況
- Anderson CS, et al. Caregiver burden and support after stroke. Stroke. 1995. DOI: 10.1161/01.STR.26.5.843