脳卒中やパーキンソン病などの神経難病、整形外科疾患で入院し、リハビリを経て退院の日を迎えることは、とても喜ばしいことです。
「やっと家に帰れる」
「家族と一緒に過ごせる」
「これで元の生活に戻れる」
多くの方が、期待と安心を胸に退院されます。
しかし実際には、退院後に
- 「こんなに大変だと思わなかった」
- 「病院ではできたのに家ではできない」
- 「思った以上に介助が必要だった」
- 「退院したらリハビリが少なくなった」
- 「このままで本当に大丈夫なのか不安」
と感じる方は少なくありません。
退院は“回復のゴール”ではなく、“生活のスタート”です。
今回は、退院後に「こんなはずじゃなかった」を防ぐために知っておきたいポイントを解説します。
なぜ退院後にギャップが生まれるのか?
病院での生活と自宅での生活は、大きく異なります。
病院では、
- ・手すりが整備されている
- ・段差が少ない
- ・スタッフが近くにいる
- ・毎日リハビリが受けられる
という環境が整っています。
一方、自宅では、
- ・段差がある
- ・狭い通路がある
- ・家事をしなければならない
- ・一人で判断する場面が多い
など、より現実的な生活が待っています。
つまり、
「病院でできる」と「家でできる」は違う
のです。
「できるADL」と「しているADL」は違う
リハビリでは、
- できるADL(能力としてできる)
- しているADL(実際に生活で行っている)
という考え方があります。
例えば、
病院では見守りがあれば歩けても、
家では、
- ・転倒が怖い
- ・家族が介助してしまう
- ・狭くて歩きづらい
などの理由で歩かなくなることがあります。
すると、
「歩ける能力はあるのに、実際には歩いていない」
という状態になります。
生活を変えるのは、
“できること”ではなく、“実際にしていること”
なのです。
退院後によくある「こんなはずじゃなかった」
① 思った以上に介助が必要だった
退院前には、
「なんとか生活できそう」
と思っていても、実際には、
- ・トイレ介助
- ・入浴介助
- ・移動介助
が必要になることがあります。
特にご家族は、
「これくらいなら大丈夫だと思っていた」
と感じることも少なくありません。
介護は毎日の積み重ねです。
少しの負担でも、長期的には大きな負担になることがあります。
② 活動量が減ってしまった
入院中は、
- ・リハビリ
- ・食事
- ・入浴
- ・病棟内移動
など、自然と身体を動かす機会があります。
しかし退院後は、
「転ぶのが怖い」
「疲れるから座っていよう」
という理由で活動量が低下しやすくなります。
すると、
- ・筋力低下
- ・体力低下
- ・バランス低下
が起こりやすくなります。
これを廃用症候群といいます。
脳卒中後は“使わない”と機能が落ちやすい
脳には、
神経可塑性(Neuroplasticity)
という性質があります。
これは、
「使う機能は発達し、使わない機能は低下する」
という仕組みです。
例えば、
- ・麻痺側の手を使わない
- ・歩く機会が減る
- ・外出しなくなる
と、脳はその動きを使わないものとして学習してしまいます。
そのため、退院後も継続して身体を使うことが重要です。
リハビリ時間が減る現実
入院中は毎日のようにリハビリが受けられていた方でも、
退院後は、
- ・外来リハビリ
- ・通所リハビリ
- ・訪問リハビリ
などへ移行し、リハビリ時間が減ることがあります。
特に脳卒中後は、
退院後も生活の中での練習が重要になります。
リハビリ室だけではなく、
生活そのものがリハビリ
という視点が大切です。
家族も“退院後の生活”に戸惑う
退院後の変化は、ご本人だけでなくご家族にも影響します。
例えば、
- ・介助方法が分からない
- ・仕事と介護の両立が難しい
- ・将来への不安が大きい
などの悩みがあります。
ご家族が頑張りすぎると、
身体的・精神的負担が増え、
介護疲れにつながることもあります。
そのため、
家族だけで抱え込まないこと
が重要です。
退院前に確認しておきたいポイント
退院前には、以下の点を確認しておくと安心です。
□ 家の中に危険な段差はないか
□ 手すりは必要か
□ トイレや浴室は安全か
□ 外出時の移動手段はあるか
□ 退院後のリハビリ先は決まっているか
□ 困った時の相談先はあるか
これらを事前に確認することで、退院後の不安を減らすことができます。
「生活を想定したリハビリ」が大切
退院後に困らないためには、
単に筋力をつけるだけではなく、
- ・家の環境
- ・生活習慣
- ・趣味や役割
- ・家族構成
などを含めて考える必要があります。
例えば、
「家の階段を安全に上りたい」
「料理を再開したい」
「孫と外出したい」
など、その人らしい目標に合わせたリハビリが重要です。
退院後も“伸びる可能性”はあります
脳卒中後の回復は、発症から数か月で終わるわけではありません。
適切な練習や生活の工夫によって、
- ・歩きやすくなった
- ・麻痺側を使えるようになった
- ・外出できるようになった
という方も多くいらっしゃいます。
大切なのは、
退院後の生活をどう過ごすか
なのです。
まとめ
退院後の「こんなはずじゃなかった」は、
準備や支援によって防げることが少なくありません。
大切なのは、
- ・退院はゴールではなくスタートであること
- ・病院と自宅は環境が違うこと
- ・生活の中で身体を使い続けること
- ・困った時に相談できる場所を持つこと
です。
退院後の生活は、不安もあります。
しかし、適切なサポートを受けながら進んでいくことで、その人らしい生活を目指すことができます。
退院後の生活に不安がある方へ
当施設では、
- ・脳卒中後遺症
- ・パーキンソン病
- ・歩行障害
- ・上肢機能障害
- ・バランス障害
などに対して、
生活につながるリハビリを大切にしています。
単に運動をするだけではなく、
- ・姿勢
- ・動作分析
- ・実生活動作
- ・自宅での困りごと
まで含めて、一人ひとりに合わせた支援を行っています。
「退院後、どうすればいいか分からない」
「もっと生活しやすくなりたい」
「リハビリを継続したい」
そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。
当施設では、一宮市を中心に、自費リハビリを通して退院後の生活をサポートしています。
“できる”を“生活で使える”へ。
退院後の新しい生活を、一緒に支えていきます。